東証が2026年7月15日に公表した集計によると、「資本コストや株価を意識した経営」の開示企業はプライム市場で94%に達しました。スタンダード市場も検討中を含め約6割まで拡大しています。開示が行き渡った今、問われるのは開示の「質」──とりわけ、一度開示した取組をどう更新し続けるかです。
何が起きたか
- プライム市場の開示済み企業は1,464社・94%(2026年7月末時点)
- スタンダード市場は検討中を含め約6割まで拡大
- 「機関投資家からのより活発なコンタクトを希望する」企業の申請は348社に。時価総額数百億円規模の企業がボリュームゾーン
ポイント
開示率が9割を超えた市場では、「開示しているか」はもはや差別化要因ではありません。重要なのは、この開示が東証の要請上も継続的な更新を前提とした取組だという点です。投資家の評価軸は、①目標と現状のギャップ分析の具体性、②進捗の定期的なアップデート、そして③一度策定・開示した取組が実際どうだったのかの検証、へと移っています。
実務への示唆
- この開示は一度作れば終わりではない。東証の要請でも更新が求められているものであり、進捗を測るKPIを定め、年1回以上のアップデートを標準サイクルとして組み込む
- アップデートで特に重要なのは、うまくいった点だけでなく、課題と至らなかった点も含めて開示すること。取締役会の実効性評価と同様、課題とその対応に真正面から向き合う企業の姿勢を評価する投資家の声は多い。「良いことしか書かない開示」はむしろ物足りなさのシグナルになる
- 市場を問わず、未開示の企業は機関投資家のスクリーニングで不可視化されるリスクを認識する。開示率94%のプライムでは未開示自体が目立ち、約6割に達したスタンダードでも未開示は少数派に回りつつある。中堅企業は「コンタクト希望リスト」への登録も、対話姿勢のシグナルとして検討に値する
出典:東証「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」開示状況
(ガバナンス・ダイジェスト編集部)

