非上場の生命保険会社、プルデンシャル生命保険株式会社(以下「同社」)は2026年10月8日、社外特別調査委員会の調査報告書の公表に合わせ、現任の得丸博充氏(代表取締役社長)ら3人が役員報酬の一部を自主返納すると発表した。不祥事を受けた経営責任の取り方として、返納の対象者と割合、期間を明示した事例である。
※同社は上場会社ではなく、参照した文書は取引所の適時開示ではなく、同社が自社サイトで公表したものである(注1)。

目次
何が起きたか
同社は10月8日、社外特別調査委員会による調査報告書について、個人情報や営業秘密を守るための非開示措置を施したうえで、同委員会の確認を経た全文を公表した。あわせて公表した文書の「経営責任の考え方」で、現経営陣の責任として役員報酬の一部を自主返納することを示した。
ポイント
- 返納するのは、得丸博充氏(代表取締役社長)、秋山泰宏氏(取締役副社長)、林邦良氏(執行役員副社長)の3人で、いずれも報酬月額の30%を3か月間とする。
- 理由について同社は、自粛期間中に発生した不祥事への責任も含め、現経営陣としての責任を明確にするためとしている。
- 同社はこの返納を「経営責任の一端」と位置づけ、過去の経営陣を含む経営責任については、外部専門家の助言等を踏まえ、同社および持株会社の取締役会決議を含む所要の手続きを経て決定するとしている。
- 公表文書には、返納の開始時期や、返納額の使途に関する記載は見当たらない。
実務への示唆
実務上のカギは、現経営陣の責任と過去の経営陣の責任を分けて示し、後者の決定手続きを開示の時点で予告しておくことである。
- 責任の範囲を時間軸で分ける。現任者の返納を先に示し、退任者を含む判断は別の手続きに委ねる構成は、調査報告書の公表と同時に一定の対応を示せる。例えば、現任者分は即時に決め、過去の経営陣分は取締役会決議の時期を併せて示すことが考えられる。
- 返納の条件を数値で示す。同社は割合(30%)と期間(3か月)を明記している。報酬の種類(固定報酬のみか、業績連動報酬を含むか)や開始時期まで記載すれば、第三者が重さを比較できる。
- 決定機関を明示する。同社は持株会社の取締役会決議を含めるとしており、グループ会社の不祥事では、どの機関が最終判断をするかが責任の所在に直結する。例えば、子会社の決定に親会社の取締役会がどう関与するかを、事前に規程で整理しておくことが考えられる。
注
- 本誌は上場会社のガバナンスを主な対象とするが、同社の事案は、社会に与えた影響の大きさなどに鑑み、非上場の会社であることを承知のうえで、編集部の判断で取り上げた。
出典
- プルデンシャル生命保険株式会社「社外特別調査委員会による調査報告書の公表およびお客さま本位の業務運営の徹底に向けた取り組みについて」(2026年10月8日) https://www.prudential.co.jp/assets_item/25/20261008_3.pdf
- 同「調査報告書(公表版)」 https://www.prudential.co.jp/assets_item/26/20261008_4.pdf
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(ガバナンス・ダイジェスト編集部)

