法務省の法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会は2026年9月30日の第18回会議で、要綱案の取りまとめに向けた補充的な検討を行った。株主総会の招集請求権の要件を、議決権の100分の3から100分の5へ引き上げる案などが資料に示された。

目次
これまでの経緯
同部会は、実質株主の確認制度と株主提案権の見直しを検討してきた。第16回の内容、第17回の内容は、いずれも既出の記事で扱った(下記の関連記事)。今回の部会資料16は、前回までの議論を踏まえた補充の位置づけである。いずれも部会資料に示された案で、決定ではない。
何が起きたか
部会資料16は、次の三点を取り上げた。
- 招集請求権:現行は総株主の議決権の100分の3以上。資料は100分の5以上への引き上げの当否を問い、平成31年4月以降の上場会社における招集請求64件のうち、株券等保有割合が5%以下の事例が16件あるとする。
- 業務執行事項に係る定款変更議案:A案は、法務省令で定める事項(将来にわたり取引の相手方・条件を拘束する事項など)について、取締役会決議で議案を取り上げないことを認める。B案は、取締役の過半数が社外取締役の上場会社に限り、取締役会が業務執行の決定を委任している事項の議案を取り上げないことを認める。
- 実質株主確認制度:有事の株主総会で仲介機関が転送義務・情報提供義務に故意または重大な過失で違反した場合、違反株式(発行済株式の200分の1以上に限る)の議決権を停止する規律を検討している。
実務への示唆
実務上のカギは、案が確定する前に、自社の株主提案への対応手順を、請求が増える場合と減る場合の両方で点検しておくことである。
- 臨時株主総会の準備期間を試算する。招集請求は事前の相当性審査の仕組みがない、と資料は整理している。例えば、請求から総会開催までの工程と費用を、取締役会が把握しておくことが考えられる。
- B案の前提を自社に当てはめる。取締役の過半数が社外取締役という要件は、議案を取り上げない権限の条件になり得る。例えば、自社の取締役会構成を、この要件と照らして確認することが考えられる。
- 実質株主の確認請求の運用を検討する。議決権停止は有事に限られ、閾値は200分の1とされている。例えば、確認請求を行う場面と主張立証の資料を、事前に整理することが考えられる。
出典
- 法務省「法制審議会会社法制(株式・株主総会等関係)部会 第18回会議」(2026年9月30日) https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00342.html
- 同「部会資料16」 https://www.moj.go.jp/content/001471858.pdf
- 関連記事:法制審部会、株主提案権の「議決権300個」要件の廃止を議論──招集請求権は5%への引上げも(第16回)/会社法改正、要綱案の取りまとめへ大詰め──指名委員会の決定を取締役会が覆せる案、事業報告と有報の一体化(第17回)
(ガバナンス・ダイジェスト編集部)

