エア・ウォーター、指名・報酬委員会の委員長を交代 監査等委員を委員に追加

エア・ウォーター、指名・報酬委員会の委員長を交代 監査等委員を委員に追加

産業ガス大手のエア・ウォーター(東証プライム・札証、4088)は10月8日、指名・報酬委員会の委員長を交代し、委員を1人増やしたと発表した。同社は連結子会社等の不適切な会計処理をめぐり、2025年12月に豊田喜久夫氏(代表取締役会長)が辞任し、2026年5月1日に東証から特別注意銘柄に指定された。6月29日には社外取締役で取締役会議長だった千歳喜弘氏が代表取締役に就き、現在は社長執行役員を務める(関連記事)。新体制の下で、CEOの後継者計画を審議する委員会の構成を見直した。

委員長の交代と監査等委員の追加で、指名・報酬委員会は6人体制に
委員長の交代と監査等委員の追加で、指名・報酬委員会は6人体制に(ガバナンス・ダイジェスト編集部作成)
目次

何が起きたか

  • 委員長は、芳賀裕子氏(社外取締役)から川崎真一氏(社外取締役)に交代した。就任日は10月8日である。
  • 監査等委員である社外取締役の樋口建史氏を新たに委員に選定し、委員は5人から6人になった。全員が独立役員である。同社は2026年9月22日の臨時株主総会で定款を変更して監査等委員会設置会社に移行しており、樋口氏は同日、監査等委員である社外取締役に就任した(注1)。
  • 会社は、同委員会を「取締役の指名および評価・報酬等をはじめ、CEOサクセッションプランに関する審議等を通じて、コーポレート・ガバナンスの実効性を高める重要な諮問機関」と位置づけている。
  • 川崎氏を選んだ理由として、事業会社の経営者としての経験と技術分野を含む知見、独立した立場からの客観的な判断を挙げた。

ポイント

今回の変更は、委員長の交代と監査等委員の追加の2点から成る。委員長には事業会社の経営経験者を据え、監査等委員を加えることで、監査の視点を指名・報酬の審議に持ち込む形である。会社は変更の趣旨を「独立性と実効性をさらに高める」「審議機能のさらなる充実」と説明しており、不祥事後の経営体制の立て直しを、委員会の構成から進めていると読める。

東証の集計では、プライム市場1,551社のうち任意の指名委員会を置く会社は1,352社あり、設置自体は一般的になっている(関連記事)。差がつくのは、誰が委員長を務め、どの議題を主体的に扱うかである。

実務への示唆

実務上のカギは、有事の後に委員会の「構成」を見直し、その理由を開示したことにある。

  1. 委員長の選任理由を書く。同社は経営経験と技術の知見、独立性を挙げた。例えば、自社の委員長について、後継者計画の審議に必要な経験が何かを言葉にし、CG報告書や統合報告書で示すことが考えられる。
  2. 監査等委員を指名・報酬の審議に加えるかを検討する。監査等委員会は、監査等委員以外の取締役の指名・報酬について株主総会で意見を述べる権限を持つ(注2)。同社はその監査等委員を諮問機関の委員にも加えた。例えば、監査等委員会の意見形成と指名・報酬委員会での審議が重ならないよう、監査等委員の委員は監査で把握した執行側の課題を審議に持ち込む役割とし、両者の関係を委員会の規程に書くことが考えられる。
  3. 委員構成の変更を適時開示で示す。同社は委員長交代と委員追加を開示文書で公表した。例えば、委員会の構成変更を株主総会の時期に限らず、変更の都度開示し、新体制の説明と結びつけることが考えられる。

注

  1. 同社は2026年6月29日の定時株主総会では監査役会設置会社として樋口氏を社外監査役に選任し、2026年9月22日の臨時株主総会で定款一部変更により監査等委員会設置会社へ移行した。同総会で監査等委員である取締役6人(うち社外4人)が選任され、樋口氏はその1人である。
  2. 会社法第399条の2第3項第3号は、監査等委員会が選定する監査等委員が、監査等委員以外の取締役の選任・解任・辞任と報酬等について、株主総会で監査等委員会の意見を述べることができると定める。

出典

  • エア・ウォーター「指名・報酬委員会の委員長の選定および委員構成変更に関するお知らせ」(2026年10月8日、東証TDnet)
    https://www.release.tdnet.info/inbs/140120261008547596.pdf
  • エア・ウォーター「臨時株主総会決議ご通知」(2026年9月22日)
    https://www.awi.co.jp/ja/ir/stock/investor/main/04/teaserItems1/00/linkList/01/link/20260922.pdf
    /同「第26期定時株主総会招集ご通知」(2026年6月)
  • エア・ウォーター「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」(2025年12月3日)、同「東京証券取引所による特別注意銘柄の指定及び上場契約違約金の徴求についてのお知らせ」(2026年5月1日)、同「代表取締役の異動および取締役を含む役員等の異動に関するお知らせ」(2026年4月17日)
  • 関連記事:2026年の企業不祥事を読む/任意の指名委員会、2026年に設置した3社の開示を比べる

(ガバナンス・ダイジェスト編集部)

見出し画像:Pexels/Leandro
Alamino撮影(https://www.pexels.com/photo/3906592/)

文:ガバナンス・ダイジェスト編集部

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