改訂CGコード対応、CG報告書はいつまでに?──期限は2027年7月末、経過措置と記載実務を整理する

2026年7月21日に施行された改訂コーポレートガバナンス・コード。内容の解説は各所で出そろいつつあるが、実務担当者にとって同じくらい重要なのが「いつまでに、何を出すか」である。東京証券取引所が公表した実務資料に基づき、コーポレート・ガバナンス報告書(CG報告書)の更新期限と経過措置、記載上の変更点を整理する。

期限は「2027年7月末」──決算期を問わず統一

東証の「コーポレートガバナンス報告書の更新について」によれば、改訂コードに基づくCG報告書の提出期限は2027年7月末日で、決算期を問わず統一されている。

経過措置として、それまでの間は改訂前のコード(2021年6月版)に沿った更新でも差し支えないとされる。ただしその場合、報告書の「コードの各原則を実施しない理由」および「取組み」欄に「【コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)に基づき記載しています。】」と明記したうえで、期限までに改訂後コードに基づく更新を別途行う必要がある。

3月期決算企業であれば、2027年6月総会後の定例更新と改訂対応をまとめて行うのが自然なスケジュールになる。12月期決算企業も、2027年3月総会後の更新で対応すれば期限に収まる。

記載実務の変更点

今回の様式見直しでは、記載欄の名称が「コードの各原則に基づく開示」から「コードの各原則に関する取組み」へ変わる。改訂コードが開示一辺倒ではなく取組みの実質を問う姿勢へ転換したことの反映といえる。

実務上とくに注意したいのは、コードの原則を実施しない場合の説明(エクスプレイン)について、どの原則かを項番で具体的に特定して記載することが求められる点である。「一部の原則について検討中」といった包括的な書きぶりは通用しなくなる。

また、有価証券報告書等で該当内容を開示している場合には、URLなどの参照方法を記載する方式も認められる。開示書類間の重複を減らしたい企業には使える選択肢だ。なお、TDnet(適時開示システム)の様式切替は2027年3月頃が予定されており、それまでは従来の欄名のまま入力する運用となる。

コンプライ・オア・エクスプレインの対象も変わっている

前提として押さえておきたいのは、改訂コードでは「基本原則」と「原則」のみがコンプライ・オア・エクスプレイン(実施するか、実施しない理由を説明するか)の対象となり、具体的・例示的な記述は新設の「解釈指針」に移されたことである。形式上はエクスプレインすべき項目が整理された一方、解釈指針は投資家との対話で当然に参照される。「対象外になったから読まなくてよい」とはならない点に注意が必要だ。

実務への示唆

  1. 「総体としての説明」への再構成を考えてみる:今回の改訂が強調したのは実効性の重視である。とすれば、原則ごとに実施の有無を答える従来型の書きぶりだけで十分かどうか、一度立ち止まって考える価値がある。例えば、CG報告書冒頭の「コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方」欄を、自社ガバナンスの全体像──何のためのガバナンスか、どのような機関設計と運営で実効性を担保しようとしているか、現状の課題と今後の方向性──が読み取れる内容に書き直し、各原則の記載をその全体像からの展開として位置づける構成が考えられる。直近の取締役会実効性評価の結果や中期経営計画が、その材料になるはずだ。
  2. 「2回更新」を避ける段取りを早めに引いておく:期限は2027年7月末だが、経過措置で旧版準拠の更新を挟むと二度手間になりかねない。例えば、原則ごとに現状の対応状況・改訂による変更点・エクスプレインの方針・担当部署を一覧化した棚卸し表を年内をめどに作り、年度内に取締役会やガバナンス関連の委員会で対応方針を一度議論しておくと、総会後の更新作業を事務手続に近い状態にしておける。
  3. 解釈指針は対話準備の材料に落とし込む:解釈指針はコンプライ・オア・エクスプレインの対象外だが、機関投資家は当然に参照して質問してくる。読むだけでは対話準備にはなりにくい。例えば、自社に関係の深い項目(成長投資、事務局強化、実効性評価など)について指針の記述と自社の現状を並べた対照表を作って差分を特定し、それをIR・SR面談用の想定問答に落とし込んで、来期のエンゲージメントが始まる前に経営陣や社外取締役と共有しておく──といった準備が考えられる。

出典

文:ガバナンス・ダイジェスト編集部

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